中小企業診断士の英語術【後編】

強みレポート
【筆者紹介】
須藤和夫(すどうかずお)
診断士資格取得及び神奈川県入会年度2016年。
日米合弁企業、米国企業の本社、日本企業で事業企画・開発・マーケティングの責任者を歴任し、定年退職後、診断士として独立しました。

メールアドレス:kazuo.sudo@mx2.ttcn.ne.jp

須藤和夫

はじめに 

 前回(メルマガ送信後、リンク貼り付け)に続き、今回は技術編です。

まず文法を

 いまさら何だと言われるかもしれませんが、プライドを捨てて中学英語からやり直すことが遠回りに見えて実は近道です。これをスキップして進むのは基礎練習なしでいきなり本番の試合に出るような事でお勧めできません。

 具体的には、高校受験用の参考書や英検3級のテキストを簡単に総ざらいするのがお薦めです。一度勉強しているので、おそらく簡単に思いだしたり、忘れていた気づきがあるはずです。 それで十分です。また、今後迷った時に辞書的に使うことも有効です。

インプットの技術 ~ 翻訳では無く理解

 余りにも 簡単で申し訳ないですが、 今から50年以上前、某予備校で習ったこの法則は、一番役に立った法則です。
英語術後編
例文で説明します
<例1> ① She ②went to ③Tokyo ④where ⑤she was born.
中学校教科書式 : ①彼女は ⑤彼女が生まれた ④所である ③東京に ②行った
左から右式 : ①彼女は ②行ったんだな (どこかと言うと) ③東京に (行ったのだ) ④そこは ⑤彼女が生まれた(場所)なのだ

<例2>①I will explain to you ②how I got ③here ④yesterday.
中学校教科書式 : ④昨日③ここまで②私がどうやって来たかを①あなたに説明します
左から右式 :①説明してくれるのだな②どうやって来たかと言う事か③ここにだな④昨日の事か

 日本語と英語は文法が違うので語順も違います。 英語を日本語的に読もうとすると中学校式の様に語順をひっくり返す事になります。文章の翻訳なら良いでしょうが、これをやっていると、スピードが出ないし会話の時は戻る事が出来ないので、相手の話についていけなくなります。

 左から右に一直線で英語を理解するように意識していると、割合に楽に英語が入ってくる様に成るものです。 その時は、「内容は理解しているが、日本語には置き換えていない」状態になっているはずです。

 ここで 「理解」と「置き換え=翻訳」は全く違うフェーズです。 理解したものを日本語で作文するのが翻訳です。他人に伝えるためには翻訳は必要ですが、自分のための情報は「理解」するだけで十分です。 「翻訳」にこだわって 日本語にしないと理解できないという状態は脱しないといけません。 ひどく難しいことを言っている様ですが、「左から右」をやっていると、そんなに努力しなくても結構出来るようになるものです。 

 因みに、私は通訳は苦手です。 通訳をすると頭の中で日本語と英語が混在して非常に疲れます。 また、英語の講演などを聴いているときは余り意識しないで英語でメモを取っています。  これも英語技術の問題ではなく、理解した内容を翻訳して置き換えるというプロセスが負担になるからという単純な理由だからです。

アウトプットの技術

 前回、発音はプライオリティーが低いと書きました。 では、アウトプットで何を一番に考えればいいでしょうか。

 それはリズムです。

 前回の定理③「読める人は話せる」で書きましたが、これも「左から右」を使えば解決します。 話すと言う事は、左から右に進めないと出来ないので、読めるけれど話せないという人は、ここに問題があり、実は読めていないという事です。その場合は、まず頭の中で日本語の文章を考えてしまいます。 次に順番を入れ替えて英語に「翻訳」しようとします。 結果は正しい英語になっているかもしれませんが、それまでの時間が長いので相手は集中力を失ってしまいます。

 ではどうすれば良いか?

 まず最初の言葉を出しましょう。 続けて伝えたい事を言い始めます。 これを続けていて、もし相手に伝わっていないようなら別の言い方に変えます。この言い方で良いかと言うような質問を加えるのもOKです。 前回書いたようにあなたの伝えたい情報に価値があるなら、絶対に聞いてくれるはずです。 そもそも、相手はあなたが英語国民でないことを知っているので、その程度の我慢はするつもりなのです。 ぺラペラは無意味です。

 余談ですが、アメリカの小学校は低学年から Show & Tell という授業をやっています。 名前の通り何か(人形とか写真とか)を見せて(show) それについてクラスメートに説明する(tell)わけです。無論低学年では「この人形は誕生日に貰ったお気に入りでとてもかわいいです」と言うレベルでしょうが、とにかく何かを他人に向かって話すという事を低学年からやるというのはいかにもアメリカンです。 英語が得意の私の友人は電車の中であれが見えたとか今日は何の日だとかつぶやいていたそうです。 不審者と思われない範囲で良い練習かもしれません。

書く技術

 会話の場合はアメリカ人でも文法的には結構いい加減です。 例えばThere is と言って複数が出てきたりするのは良くあります。
 
 一方、書く場合はちょっとハードルが高くなります。 会話と違って時間をかけられる点は楽ですが、やはり後に残るものだし、言い直しのような調整ができないので緊張します。

 絶対的な王道は無いのですが、学ぶことは 「真似ぶ」 事なので、ひたすら正しい文書を利用して ビジネスメールなどを書くしかないと思います。
例えば、第1部にも書いた自分の興味のある分野のメルマガなどを読むことも自然に書く力を向上させます。
 
 過去に一度だけ英語学校に通ったことがあり、その時は講師の学歴や職歴を調べてから適切な人を選んで、私の書いたビジネスメールにどんな細かい所でも全部指摘してくれと頼んだことがあります。 結果は添削で真っ赤になりいささかへこみましたがいい勉強でした。

教材などについて

 私は実際に使っていないので私見ですがいろいろな「楽に誰でもすぐにできる」を謳う教材に関しては常識的にこう考えます。

・受験英語や学校英語は役に立たない。 文法は不要
→これは絶対にウソです。 前に書いたようにこれが基本です。

・英語は耳で覚えろ
→ 非常によくあるパターンです。 英語国民の幼児がそうやって覚えているのは事実です。 但しいわゆる half truthです。大人は幼児のような単純記憶力は失っています。そもそも自分がどうやって日本語を覚えたかを思い出せば親・兄弟・友人などの影響が大きかったはずで、大人の日本人の英語習得にはそういうヘルプは存在しません。

・XX種パターンの英文をトレーニングするだけであるいは英語はXXX語で全部OK
→相手はそのXX種パターンやXXX語でアウトプットしてくれる保証はないのでパニックを起こすだけではないでしょうか。
これらは一例ですが、簡単を謳う教材はこんなもので、ちょっと落ち着いて考えれば穴が見えてくるはずです。

おわりに

 以上、私の体験的英語論を述べました。 皆様が海外ビジネスにチャレンジされる時のお役に立てば幸いです。
以上

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