強みレポート

「企業の最高の意思決定を導く」
法人営業・B to Bマーケティング~

筆者紹介
花村大祐(はなむらだいすけ)
診断士資格取得年度2023年、神奈川県入会年度2023年。愛知県出身。1988年生まれ。工作機械メーカーへ入社後、フィールドセールスとして従事。中小企業診断士を取得後、ベンチャー企業・中小企業向けの売上向上の支援、現場営業員向けのセールス支援ツール開発&支援を実施
メールアドレス:hanamura@fv-consul.com
動画はこちらから https://youtu.be/cqcOPBvwW2M

はじめに

 本稿では、たとえ不利な交渉であっても自分にとって有利な交渉へと導くことを目的とした法人営業・B to Bマーケティングについてお伝えします。重要なのは意思決定における重要情報と、意思決定者はどのような影響を受けるかを常に把握し続けることです。
 私は工作機械メーカーの法人営業職として10年以上のキャリアがあります。セールス・マーケティング・プロモーション・ブランディングと一人で幅広い営業活動に従事して参りました。
 取り扱う商品の特性として、市場の相場観から3~5割ほど割高で、高性能な商品を主力としており、価格面で常に不利な立場に置かれています。そのため商品の魅力と顧客の課題解決につながることを明確にお伝えしなければ販売できません。
こうした高難易度な営業をこれまで全国5カ所の拠点・延べ100件以上のお客様で実践してまいりました。再現性の高い営業手法だと認識しております。

 法人営業は、交渉が複雑になる傾向があります。これは意思決定者が複数人いるためです。さらに中小企業の場合、社長の意向が強くなります。そこで社長の意思決定が重要です。では、社長を押さえればそれでいいのでしょうか。重要な設備投資や高額商品である場合、そう簡単に意思決定を引き出すことはできません。また、社長を押さえられなかった場合、そこで商談を諦めていいのでしょうか。

そもそも法人営業の特性とBANTについて

 法人営業のキーワードとして、BANTがございます。図1のように予算・決済権・必要性・導入時期の4つの条件が商談を左右する条件であると定義しております。この条件を確認することを目的にヒアリングを進め、商談の優先度を定量的に判断し商談管理することが重要です。

人は誰かの影響を受けながら意思決定をする

 ここで注目したいのは、BANTでいうところの決裁者、つまり、”人”がどのような影響を受けるかです。皆さまがそれぞれターゲットとする人物がどのような人々から影響を受けるのでしょうか。
 法人営業において決裁権に影響力を及ぼす意思決定関与者であるDMUをタイプ別に把握していきます。すると、社長or権限者を取り巻く関係者を特定していくことができます。図2のように、関係者を整理し重要度をマッピングすることで、アプローチ対象を絞り込むとともに、各人にとって有効的なアプローチ方法を考案します。

クロージング ~社長はどうすれば決断できる?~

 私自身、20代の頃から単価で数千万円~1億円を超える設備投資を提案してきました。相手は私の数倍の業界経験を重ねた社長や職人さんたちです。ベストな提案を持ち込んでも社長に響いていないケースがありました。そこで実際に機械を扱う従業員の方へアプローチしました。従来機との違いや現状のサービス体制等の情報提供を継続的に実施しました。すると、ある日突然、社長から連絡が入り、無事機械を購入いただくことができました。
 機械購入後、現場の方からは「社長が一番気にしていたのは買った機械を現場にどのように使ってもらうか?従業員の理解を得るかの部分だった。それをあなたが先手を打ってくれたら円滑に進んだのでしょう」と言われました。確かに設備投資の決定権は社長にありますが、今回はDMUでいうと「使用者」である「現場の従業員」の影響力を社長は重視していたのです。

おわりに

 会社を取り巻く意思決定の構造を、BANTを用い多角的に捉え、DMUを活用して影響力を把握し、様々な人物アプローチする。これこそが複雑な意思決定を経由する法人営業の有効的なマーケティング手法といえます。皆さまの営業・マーケティング・交渉の場でご活用できると幸いでございます。

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