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人が自然に動き出す関わり方のヒント

~行動特性を活かしたコミュニケーション変革(前編)~

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筆者紹介

名前:石嵜克哉
2026年 中小企業診断士資格取得、神奈川県中小企業診断士協会入会
自己紹介:製薬企業で営業・組織マネジメント・人材育成に従事。医療従事者との対話や研修講師を通じ、多様な人の行動変容を支援してきました。中小企業診断士、ITコーディネータ、MBA、M&Aコーディネータ、DiSC®認定ファシリテーターとして、医療・介護をはじめ、経営・人材・IT・M&Aなど幅広い経営課題の解決を志向しています。

メールアドレス:ishizaki.consulting@gmail.com
X:https://x.com/victory_shrimp?s=11&t=NMmJ5A2PgN44FWts8NqA9

はじめに

「正しく伝える」だけでは人は動かない

 中小企業診断士の支援現場では、「提案内容には納得してもらえたはずなのに、なかなか実行に移されない」「同じ説明をしているのに、相手によって反応が異なる」と伺うことがしばしばあります。
また、支援先企業でも、「経営者の考えが現場に伝わらない」「部門間の連携がうまくいかない」「部下との面談が一方的な指示になる」といった悩みを耳にしました。その背景には、制度や仕組みだけでなく、人それぞれの価値観や行動特性の違いがあります。

私は製薬企業で長年、営業や組織マネジメントに携わり、その後、本社の人材育成部門に携わりました。マネジメント研修では、人の行動特性を理解する考え方とコーチングスキルを組み合わせた研修をファシリテートするとともに、自身も管理職として、部下との面談や目標設定、日々のマネジメントで実践してきました。
そこで実感したのは、「正しいことを伝える」だけでは、必ずしも人は動かないということです。同じ目標を示しても、すぐ行動する人、周囲との関係を確認してから動く人、十分な情報を得て納得してから動く人がいます。

相手の行動特性を理解し、問いかけ方や伝え方、任せ方を工夫する。さらにコーチングによって本人の考えを引き出し、自ら次の行動を決めてもらう。こうした関わりは、メンバーのモチベーションや主体性を高め、相互理解や組織内コミュニケーションにも役立ちました。

行動特性の違いを「共通言語」にする

人の行動特性を理解するフレームワークはいくつかあります。私自身も人材育成に携わる中で複数の考え方に出会いましたが、現在はDiSC®の考え方を一つの基礎としています。
 DiSC®では、行動傾向を、結果やスピードを重視する「D」、人とのつながりを重視する「i」、協調や安定を大切にする「S」、論理性や正確性を重視する「C」の4つの観点から捉えます。
DiSC®理論とは
出典:Everything DiSC® HRD株式会社
もちろん、人間を単純に4種類に分けるものではありません。誰もが複数の傾向を持ち、状況や相手によって行動も変化します。重要なのはタイプを当てることではなく、「自分にとっての当たり前が、相手にとっても当たり前とは限らない」と気づくことです。DiSC®では4つのスタイルをさらに細分化し、円形チャート上のドットとそれを取り巻く「心地よい領域(シェード)」によって、より深い自己理解を促す情報も提供されます。
 例えば、結果を重視する経営者が「早速やってみよう」と考える一方、品質を担う責任者は「十分に検証してから進めたい」と考えることがあります。目指す方向は同じでも、互いに「慎重すぎる」「説明不足だ」と感じ、コミュニケーションギャップが生じます。
DiSC®スタイルの表示
出典:Everything DiSC® HRD株式会社
 相手を自分のスタイルに変えるのではなく、何を重視しているかを理解し、伝え方を工夫する。さらに「どうしたいのか」「何が必要か」「どのような方法ならできそうか」と問いかけることで、相手自身が考え行動する対話へと変えることができます。

中小企業と経営支援の現場へ

こうした考え方は、経営者と従業員の距離が近い中小企業にも有効です。人材育成、評価面談、技能伝承、部門間連携など、日々の対話の質を高めることは、従業員の意欲や組織風土にも影響し、組織を動かす力につながります。
また、中小企業診断士をはじめとする支援者にも当てはまります。経営者へのヒアリング、課題整理、改善提案、事業計画策定など、経営支援は「人との対話」の連続です。優れた分析や提案も、相手が納得し、行動に移さなければ成果にはつながりません。

行動特性の理解とコーチングは、人を分類するためではなく、「相手を理解し、相手に届く対話」を考え、具体的な行動を後押しするための手掛かりになると考えています。

おわりに

次回は、行動特性の分類方法と理解、GROWモデルによるコーチングを組み合わせた事例をご紹介します。
以上

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