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神奈川県の医療・介護・福祉の現在地

~中小企業診断士に求められる支援とは~
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筆者紹介

名前:遠藤多絵子(旧姓:星)
診断士資格取得年度:2007年度
神奈川県入会年度:2026年度
自己紹介:医療・介護・福祉業界をメインに活動している。医療事務・一般企業経理・社会福祉法人内部統制を通じ経営改革に従事。2015年に独立し、個人事務所で経営改善サポートを開始。経営者の成長サポート・財務体質改善・現場と経営者との連携を支援中。

メールアドレス:t.hoshi@manystars.jp
ホームページ:http://www.manystars.jp/

はじめに

医療・介護・福祉は、中小企業診断士にとって決して遠い業界ではありません。一般企業と同様に財務改善による建て直しが可能だからです。患者の高齢化による退院困難、人材不足、物価・賃金上昇などにより、医療・介護・福祉の経営環境は急速に変化しています。経営について、制度の専門知識だけでなく、全体を見る力が必要です。
出典:日本政策金融公庫「2025年度新規開業実態調査」

神奈川県の医療

 まず、神奈川県の人口を見てみましょう。神奈川県の総人口は、2026年7月1日現在の推計で919万8364人です。
出典:神奈川県「神奈川県の人口と世帯」(令和8年7月1日)より
県内全体および横浜市・川崎市・相模原市のみ抜粋
直近公表の年齢別人口統計では、神奈川県の高齢化率(65歳以上の老年人口の割合)は26.0%です。
出典:神奈川県「神奈川県年齢別人口統計調査結果報告」(令和7年1月1日)
今後は年少人口・生産年齢人口が減り、高齢化が加速すると見込まれています。患者も高齢化して、退院困難になったり、外来に来ることが難しくなったりします。したがって、医療機関を開いているだけで患者が来院していた時代とは戦略を変えなければなりません。具体的には高齢者救急としての患者受入体制を作る、在宅医療にシフトするということです。
また、神奈川県や県医師会などの発表によると、『県内病院のおよそ7割が赤字経営』となっています。収入の柱である公定価格の「診療報酬」が、近年の急激な物価高騰や人件費の上昇に追いついていないことが一因です。2025年10月、神奈川県や県医師会、県病院協会などは「Save Our Hospital!(いのちを守る病院を、地域のみんなで支えるために)」という共同メッセージを出し、強い危機感を表明しました。

神奈川県の介護

介護事業においても、「経営」の観点が必要です。横浜市や川崎市などの大都市を中心に多くの介護認定者がいます。要介護者を支える人材も確保しなければなりません。介護情報サービスかながわによれば、『週休3日制を柱とした多様な働き方の導入支援や、介護分野における雇用管理改善推進事業(Smiling介護神奈川プロジェクト)など』が実施されています。
高齢者の増加により介護需要が続く一方、生産年齢人口の減少により担い手不足が深刻になるからです。また、介護報酬も医療の診療報酬と同様に公定価格であり、賃上げ原資の確保が容易ではありません。処遇改善加算等を活用して賃上げ原資を確保するとともに、人材定着、採用、DX・業務効率化を一体的に考えることが重要です。社会福祉法人等においても、人材確保や組織間連携、財務管理など共通する経営課題があります。

具体例: 医療・介護ニーズの変化を踏まえた病院支援

ある病院では、一般病棟に加えて高齢患者を受け入れる地域包括ケア病棟を有していましたが、経営上の事情から一部の病床機能を休止していました。一方、地域では高齢患者が増加し、退院後まで含めた医療ニーズが高まっていました。周辺の医療機関では、入院から退院後の在宅医療までを一体的に支える取り組みも進んでいました。

私は、関係各所に話を聴いて、地域の医療ニーズに合わせた病床機能への転換を提案しました。転換にあたり、下記の3点を重視しました。
①指揮命令系統の明確化
②病棟ごとの機能の明確化
③スタッフへの配慮と組織への誇り

医療においては、「急性期が一番いい」という風潮があります。このような志向を払しょくしなければ、地域の高齢者ケアへの対応が遅れ、結局のところ医療機関がますます経営難になるという悪循環になると指摘しました。その後、病床機能の見直しが進み、経営改善につながりました。

おわりに

医療・介護・福祉には複雑な制度がありますが、中小企業診断士が持つ財務分析、組織・人材、マーケティング、業務改善、DX、事業計画、経営戦略の知識は、この分野においても活用できます。まずは一緒に外部環境分析からやってみませんか。
以上

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