「勝ち筋」を発見する最も効果的な方法とは

強みレポート
筆者紹介
小野 慎介(おの しんすけ)、2022年5月診断士登録、同年6月神奈川県中小企業診断協会入会。
IT系ベンチャー企業で経営陣としてマザーズ上場を実現後、自らも独立起業。ベンチャー・中小企業に対し、「勝ち筋」を発見し「売れ続ける仕組み」を構築する売上拡大支援マーケター。独立診断士。川崎市在住。
メールアドレス:ono@scenario-make.jp
ホームページ:https://scenario-make.jp/
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はじめに 

 私は2022年に診断士登録したばかりの新人ですが、資格取得以前より自社事業としてベンチャー企業や中小企業を対象にマーケティング支援を行っています。また長くマーケティングに従事した経験から、「勝ち筋」の見極め力が発達してきました。今回は、「マーケティングを強化したい」「どうにか売上を増やしたい」という粒の大きな中小企業の要望に対し、「彼らがどのような支援を望んでいるのか」「何をすればその期待に応えられるのか」という点を私になりにお伝えします。

大事な心構え

 まず、マーケティング活動を支援または実施するうえで重要な点が2つあります。1つ目は、「顧客視点」を合言葉にプロダクトアウトからマーケットインへ視点の切り替えを促していくことです。2つ目は、マーケティングの守備範囲を事業全体と考えることです。一般的にマーケティングといえば4Pの中のPromotionに焦点が当たりがちですが、広告や販促といったテーマだけでなく、商品や機能、価格設定、デリバリー方法にも積極的に関与していく姿勢が求められます。なぜなら、「4Pすべてをマーケティングの変数にできるかどうか」が、継続的な売上拡大を実現する鍵となるからです。可変領域が大きいほど変化も大きくなるイメージです。「管轄外だから」「専門外だから」というような意識は排除する必要があります。

「顧客の顧客」「競合」「サービス」に直接触れる

 さて、皆さんはクライアントの診断や支援において、現状分析をどこまで深く行っていますか。決算書や売上データ、顧客データの分析から着手することも多いと思いますが、定性データをどれだけ収集しているでしょうか。
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 コンサルティングにおいては現状分析が最重要であるとよく言われますが、クライアントの「勝ち筋」発見においても、同じく市場・競合・自社の3C分析を可能な限り深く行うことが成否を分けます。私の場合は以下のような取り組みを基本行動としています。
1.市場調査
クライアントが行う見込客との商談への同席や、既存顧客へのインタビューなどを自身で敢行し、顧客インサイト(顧客自身ですら気づいていないニーズや価値判断軸)の収集を目指します。
2.競合調査
競合他社と実際に商談を行い、サービスも実体験し、顧客から見た印象の把握までを目指します。
3.自社調査
データ分析はもちろん、顧客視点でのサービス利用やWebサイトの回遊、営業トークのヒアリングなどを行い、サービスの穴を把握します。

 これらは地道で時間のかかる作業ですが、自身の目・耳・足で生きた情報を集められれば、顧客視点に基づいた「勝ち筋」が自然と見えてきます。そのため、この作業はできれば自分一人またはごく少数で行うべきです。また、こうして収集した情報はクライアントにとっても貴重で価値が高いため、彼らの組織行動やサービス姿勢にもポジティブな影響をもたらすこともありえます。

4Pを設計し、市場に小さく投入し検証する

 顧客視点で「勝ち筋」を見出した後は、戦略を描き、4Pの設計に移ります。初期仮説を基に、顧客に届けたい価値や商品内容、価格設定、メッセージ、デリバリー方法などを、市場に小さく投入しながら検証していきます。ここでも、どれだけ地道かつ丁寧に検証できるかがその後の成否を分けます。
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おわりに

 クライアントの「勝ち筋」を発見する最も効果的な方法は、「自身の目・耳・足をフル稼働させ、顧客を理解すること」、そして「顧客目線に立ち、サービス全体の設計に関与すること」と私は考え実行しています。
 クライアントは一過性ではなく継続的で再現性のある売上拡大を望んでいるので、顧客を深く知る取り組みから支援に入ると、本質的な課題解決につながり、彼らの期待を超える成果を創出できるはずです。

以上

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