ZOOM参加者に見た火災リスク対応
とテレワーク執務室のKAIZEN 

強みレポート
筆者紹介
山田 潤(やまだ じゅん)
2010年診断士資格取得、同年神奈川支部入会。昨年に続き当コーナーで執筆。精神保健福祉士や電気工事士等に加え、本年新たに消防設備士の資格を取得。テクニカルショウヨコハマでもテレワーク絡みのセミナー講師を務める。
メールアドレス:yam6ada.j5un@w4.dion.ne.jp
やまだ

はじめに:新たな可能性の発見 

 私は「まちの電気屋さん」でパート勤務しながら診断士としての活動にも活かす生活を続けおり、日頃からテレワーカーを含め多くの方に住空間改善提案を持ち込む機会があります。この勤務先から消防設備士取得を勧められたため、今年春、新たに「消防設備士甲種4類」を取得しました。受験勉強を進めていくうちに私は、培ったスキルを活かす可能性を改めて考えるようになりました。上記を踏まえ、診断士として以前から模索していた、事業再構築補助金とは離れた分野での活躍場所について、お伝えしたいと思います。

PC等から出火懸念ある「テレワーク執務室」

 近年ZOOM参加者等で、自宅のリビングや子供部屋等を狭く間仕切りした空間で、ヘッドセットを着用される方を頻繁に見かけますが、雇用型テレワーカーが自宅を執務室に転用された場合のリスクを強く感じるようになりました。消防設備士のうち4類と言えば甲種・乙種いずれも自動火災報知機等が専門なので、本コーナーではこの方面を中心に論じていきます。
 住宅とは異なり、カラオケボックスは音声による警報が届き難いという理由で、最も厳しい防火対策が課せられています。コロナ禍で稼働率低下したカラオケボックスを実際に執務場所としてお使いの方もいます。自動火災報知設備のある一戸建てにお住まいの方は少ないと思われますが、テレワーク導入を機に、従業員の住居を会社の経費で自動火災報知設備を導入された方は果たして何人おられるでしょうか? PC等のバッテリー発火事故は時間帯や設置場所を問わず現実に起きています。
図4
図2
図3
 また、自動火災報知設備は、感知器・発信機→受信機→音響装置と接続された構成ですが、感知器の種類等も気になる次第です。共同住宅の子供部屋等に設置されるのは通常、比較的安価な差動式熱感知器ですが、テレワーク用に狭く仕切られた部屋にはPCやLAN設備が不可欠であることから、本来は煙感知器設置が必至となります。かなり古い感知器を無理に使い続けることもお勧めできません。
 自動火災報知設備を含め、消防関連の知見は、概して労災保険料率が低い業種において不足しがちになります。懸念に関連した情報をどこかで入手された在宅勤務者が、運動不足に加え漠然と不安を抱く一方、会社として対策を打てないままですと、うつ病の原因にもなりかねません。

「テレワーク執務室」のLED照明へ賢い移行

 省エネは勿論ですが、狭い部屋であれば暑さ対策の上でも照明のLED化は必要でしょう。一方、デザイン等に拘り「壊れるまで」と蛍光灯を使い続ける方も少なくありません。LED照明は私のパート勤務先の花形商品でもあるので、ここでは蛍光灯からLEDへの賢い移行例を紹介します。
 近年、蛍光灯の後継品として、G13ソケットに差込可能なLED照明がデファクトスタンダード化しています。蛍光灯の器具側の傷みが少ない場合、上記のG13ソケットに100V電源を直結させる施工を行うことで、大きな器具全体を交換するのと比較して、安く廃棄物発生も抑えた形での移行が可能になります。上記の移行コストは、天井埋込型照明の場合、差が特に大きくなります。

おわりに:コロナ後のKAIZEN

 新しい生活様式として、テレワークは各国の幅広い業界で急速に定着しています。2021年中小企業診断士試験の1次「運営管理」や2次「事例Ⅲ」では、特に在宅勤務を強く意識したと思われる出題は、未だ見当たりません。しかし、テクニカルショウヨコハマ2022の当協会の出展テーマは「コロナ後を見据えて」でした。私を含め事業の抜本的な再構築の支援活動で忙しくなった診断士としても、在宅勤務を前提としたオペレーションへと支援対象が移行する日が近づいています。
 かつてトヨタ等のGEMBAは各国からの視察対象となりKAIZENは国際語になりましたが、工場や店舗と比較して、在宅従業員の執務場所は、KAIZENの対象として手つかず状態です。KAIZENに際し、事業主は従業員宅を直接覗き込みに行くことは困難です。しかし私は電気工事士資格を活かして様々な家庭の敷居を跨ぐ機会を確保している上、精神保健福祉士や健康経営エキスパートアドバイザーの知見を活かしてうつ病や運動不足に対する指南もし易い立場にあります。こうした強みを活かし、コロナ後の企業支援活動を進めたいと考えております。

以上

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