中小企業にオススメのISO9001への取り組み方 

ISO9001教育の3ステップ

強みレポート
筆者紹介
大原 健佑(オオハラ ケンスケ)、2021年度診断士資格取得、2021年度神奈川県入会
自己紹介 2006年大手容器メーカーに就職、PETボトル新製品・新成形技術開発を担当。2016年4月製造業向けコンサル会社に入社した後、QMS審査員補の資格を取得し2019年に独立。現在は、独立診断士として活動中。川崎市在住。
メールアドレス:k.ohara@ohara-mco.com

アンケート
ご一読いただけましたら、下記アンケートへの回答をお願いいたします。
https://forms.gle/GRabWdfsyv82q1ow7
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はじめに 

 私自身が製造業の中にいた元技術者として、製造業の現場に寄り添うコンサルティングを実践してきました。この度は、頂いているお悩みの中からISO9001を取り上げたいと思います。ISO9001は品質マネジメントシステムですが、経営と一体であるべきだということをふまえ、私が行なっている3つの教育ステップを紹介させていただきます。

1.そもそもISO9001とは

 これまでにお話ししてきた経営者や品質保証部門の方でも、「ISOってトレーサビリティや文書管理のことでしょ?」という回答をされる方が多くいらっしゃいましたが、それは誤りです。
 ISO9001とは、【こういう仕事のやり方をした方がより良いですよ、ということを教えてくれるもの】という優しい言葉に置き換え、実際にはごく当たり前のことしか言っていない簡単なものだと知ることが第一歩です。

2.ISO9001教育の3つのステップ

 私なりの教育のアプローチのポイントは、各社の品質マニュアルを使用しないで直接ISOの要求事項を参照することと、『ボトムアップ型』です。ISO9001はトップダウン型の欧米が主導して作られている標準ではありますが、“ISOをうまく活用する”という点では、日本の歴史や文化に鑑みてもボトムアップ型のアプローチが適していると考えています。
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①STEP1:担当者への教育
 まずは仕組みを実行する担当者に対して教育を行います。
【自分がやっている作業がどんな要求事項に基づいているのか】を理解してもらうということを到達点とします。
 現場の作業者にとっては、意味のない煩わしい作業はなるべくやりたくないものです。作業日報などの記録類はその典型例です。書く決まりになってはいますが、書かなくても仕事は回り、作業者間の情報伝達は口頭で十分な作業です。まずは、どうしてこうした作業が必要なのかを認識していただきます。そのために、教育では現場で実際に使用している帳票の意味を理解していただきながら、ISO9001の要求事項と現場の作業の紐づけを行っていきます。

②STEP2:品質管理責任者への教育
 品質管理責任者は、当然ではありますが、担当者よりは視点を高く持つ必要があり重要な役割です。管理責任者の役割は、個別プロセスの責任と権限は現場リーダーに適切に割り当て、その全体の責任を負う、ということです。この点に関する理解と自覚が不足している責任者や次期責任者の候補者の方が多くいらっしゃり、経営者の悩みの種になっているケースも多いです。
 この点を是正・教育するため、担当者同様に現場の帳票を取り上げ、【なぜ現場にその作業をさせているか、どんな要求事項に基づいているか】という視点でそもそもISOではどういうことを要求しているのか、ということの理解を促していきます。

③STEP3:内部監査の是正
 内部監査の重要性は、自社のマネジメントシステムの「有効性」を評価できる点にあります。なぜなら、外部の審査機関による審査では、ISO9001の「適合性」に関する審査は重点的に実施できても、「有効性」に関する評価は積極的に行うことができないからです。
 品質管理責任者に必要な自覚は、内部監査のアウトプットはマネジメントレビューのインプットとなっているという点です。
 一方で、経営層は、正しい内部監査のアウトプットを生かすも殺すも自分次第、という自覚も必要です。「内部監査のアウトプット(報告書)で規定やルールの変更の必要があるかを判断できるか」ということを強く意識させるようにします。
 経営層と管理責任者の双方が、現在のマネジメントシステムに満足することなく、常に改善していく姿勢を持つような意識付けを内部監査是正の到達点としています。

おわりに

 中小企業では、必ずしもISO認証を取得する必要はありません。【自己適合宣言】という方法で、自社でISOを参考にした仕組みづくりが出来ていれば良いです。
 ISOはあくまでも当たり前のことが書いてある参考書というつもりで眺めてISOに振り回されずに、顧客満足の向上と安定的な高品質製品・サービスの提供ができる体制づくりを行い、本業を生産性高く営む中小企業がどんどん増えていくことを期待しています。

以上
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