私の業務経験とIT系診断士活動

強みレポート
筆者紹介
藤井 寿隆(ひさたか) 2014年度資格取得。2020年度入会。資格取得当初は、大阪にて電機メーカー勤務の傍ら大阪府協会に所属して活動していたが、異動にて現在東京勤務。地元、葉山町、三浦半島地域の社会に貢献する診断士活動を実現すべく神奈川県協会に入会。(一社)三浦湘南共創ネットワーク代表理事。所属企業においては、IoT/ネットワークシステムの開発を業務としている。技術士(電気電子部門)   
メール fujii@miura-shonan.com
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はじめに 

 私は、電機メーカーの技術者として長期にわたって勤務してまいりました。専門の範囲で言えば今でいうIoTシステムの開発が専門となります。ここでは、少しばかりその内容をご紹介し、診断士としての活動への応用に関して思うところを述べたいと思います。

過去の業績 ・経験

 まず私の技術者としての開発業務の概要だけお話します。私は、昭和58年より電機メーカーの研究開発部門に勤務し、主にコンピュータを使った通信機器(電話網を活用したビル向け遠隔防犯装置に始まり、各種ホームネットワーク製品、インターネットの普及と共にこれらのインターネット活用版機器、住宅用電力マネージメントシステムとサービス用クラウドシステムなど数10の技術開発、商品開発プロジェクトに参画し、そのいくつかはプロジェクトリーダーを務めてきました。
 技術としては、電子回路設計/製造、インターネットを含む各種通信ネットワーク技術、ソフトウェア開発の3つ、さらに経営的には、これらの分野のプロジェクトマネジメント(各種開発手法)、知財と新市場開拓に関する経験とになります。

最近の技術動向

 さて、近年、クラウドIoTと呼ばれる分野が新たに出てきたかのように言われています。昔のITの概念は、いわゆる大型コンピュータに始まった中央集権的な情報処理用のサーバ(大型の物理的なコンピュータ)を、どのように活用して業務をこなすかというものでした。大型コンピュータの得意な、銀行や企業の会計業務などがその中心でさらにPCの普及でその一部処理が、PC上で行われるという流れです。私が過去経験してきた製品に組み込むコンピュータについては、オタクの仕事的な感じで傍流であったと思います。当初、組み込み型の機器のコンピュータは、基本的には、処理能力も小さく、単独での動作が前提の中、それぞれの設計者の工夫で製品を開発していました。
 ところがこの15年で、インターネットの普及/クラウドの発展とPCや製品に組み込まれたコンピュータの性能が向上し、組み込み型のコンピュータでも、スマホのようなGUIも使えるし、インターネット経由でクラウドに接続してなんでも(裏で)できるようになったおかげで、お客様から見た機能上でできる範囲が拡大しています。だれでもIoTシステム開発者になれてしまうのです。

クラウド型IoTシステムの仕組み

 さて、クラウド型IoTシステムとはどんなものなのでしょう? まずIoT機器ですが、スマホやタブレット、もしくは自社で作った機器がIoT端末になります。最近は有名なRaspberryPiに代表される、安価(数千円)で10年前のPC以上に高性能なコンピュータが使えるようになって作るのがぐっと簡単になりました。これら端末装置にクラウド接続のためのソフトウェア(表示・通信機能)を導入します。最近は比較的習得が容易な言語が端末の開発をサポートしてくれますので、プログラム開発も難易度が下がり、インターネットさえあれば開発できる時代になりました。
 さてクラウドですが、インターネット上の大規模なコンピュータの一部を貸し出してくれるサービスです。ご存じのAmazon、Google、Microsoftが3大クラウド提供者でして、PCのブラウザ上でクリックするだけで、昔なら考えもできなかった性能のコンピュータを借りて、インターネットのどこか(クラウド)で動作させることが出来ます。
 ここに端末装置からの通信を読み取って動作するプログラムを配置して、IoTサービス作成完了です。例えば、誰かの顔を画像認識してスマホの画面に名前を表示するとか、現場の温湿度を測定してクラウドにデータを保存表示するとかの単純なシステムなら、ソフトウェア部材を組みあわせて数日で出来てしまいます。

私たちIT系の診断士の出番!

 こんなに便利なIoTシステムですが、日本の、特に中小企業での活用事例がまだまだ少ない。この活用は、私たちIT系の診断士の出番じゃないかと思うのです。どうも日本の社長さん、特に少し年齢の上の方については、いわゆるITリテラシーに自信がないという方が少なくありません。自分がわからないものは、だれしもやりたくないという思いがあるのか、拒絶気味の方もおられます。でも世間は待ってくれません。ついて行かないと誰かにやられて負けてしまう。たとえ個人商店であってもうまく使いこなしていけば大きな効果の得られるシステムもあります。できる従業員の方と一緒にITの勉強をしていただき、業務の効率化や働き方改革へのビジョンを描き、実現するというのが、これからの道かなと考えます。

おわりに

 最近、インボイス制度や電子帳簿保存法がらみのセミナーの一環で、商店主など小規模の皆さんに向けてこれらにクラウドサービスをどう使うかのお題でお話をする機会がありました。興味はあるようですが、まだまだ反応が薄いのが実態でした。日本は世界からのイメージではIT大国なのですが、それに合わせて中小企業も進化をとげるような伴走が必要で、これらに診断士として少しでも役に立ちたいと考えております。

以上

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