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外国人向けのプレゼンテーション ~国内向けと違うようで違わないプレゼン術~
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山田昭彦(やまだ あきひこ) 2007年診断士資格取得、2018年に神奈川県中小企業診断協会に入会。 伝動機器メーカに33年間勤務した後で、2011年よりJICAシニアボランティアに参加し、2014年からJICA中小企業海外展開支援事業に従事し、2019年からは外国人経営者向けのセミナー講師を務めています。
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メールアドレス:kikunayamada@h3.dion.ne.jp
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はじめに
ベトナム人やカンボジア人、ヨルダン人やイラン人に経営や生産管理の講義を行ってきました。また、中小企業診断士を対象に5S・カイゼンのマスターコースで教えています。こうして振り返ると診断士としてプレゼンテーションに関わる時間が長かったです。この記事がこれからプレゼンテーションで仕事をしたいと思う若い方に参考になれば幸いです。
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リアルなセミナー
リアルなプレゼンテーションとしては、ベトナムで経営者向けの生産管理セミナーがありました。ベトナム人の通訳者は日本語が上手でかつTPSなどの日本の生産システムにも精通しているので、ツーカーで講義を進めることができました。
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おかげで受講生の理解が早く質問が多く、大変に盛り上がりました。セミナー時間の半分はわたしが日本語で通訳に話し、残り半分は通訳が受講生にベトナム語で説明しました。問題は通訳が入ると、入らない場合に比べて2倍の時間がかかる点です。そこで講義内容を絞り、余裕を十分に取り、時間を管理しました。
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また、多くの受講生が集まると経験や知見に差が出て、理解できない方が取り残されて満足度が落ちます。対策としては、ベトナム人受講生に経験などを語ってもらい、ベトナム人受講生同士の討論を増やしました。すると、講義を理解できた方がベトナム語で他の方に説明してくれ、雰囲気も和やかになりました。セミナー終了後には集合写真撮影やチャットで盛り上がり、食事に誘われて楽しい時間を送ることもできました。
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オンラインでのセミナー
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オンラインセミナーとしてはカンボジア人向けに英語で経営を講義しました。通訳はおりませんでした。モニターに映る受講生は緊張しており、反応が鈍かったです。英語が上手な方が質問してくれるのですが、他の方は黙ったままなので理解度はわかりませんでした。
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ビデオONをお願いするのですが、多くの方は顔を隠しており、なかなか交流が図れません。そこで、受講生の自己紹介の時間を多く取ることで、受講生同士の相互理解が高まるようなアイスブレーキングに努めました。
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さらに、受講生のバックグラウンドを事前のアンケートで入手し、かれらがどのようなテーマに関心があるのかを予想し、講義の中では仕事に関する具体的な話をしました。また、一般にはセミナー後はすぐに解散するので、受講生との交流はほとんどありません。
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しかし、受講生は講師からいろいろと学べることに期待しているので、対策として講師のメールアドレスを伝えて質問を受け付けたり、講義後にオンラインに残って話ができるようにしました。おかげで、講師の評価はまずます高かったようです。
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経験から学ぶ
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プレゼンテーションの目的は個々の受講者の満足度を最大にすることです。分かりやすいストーリー作りや理解が深まるスライドの作成はもちろん重要ですが、一番大切なのは個人の要望を聞き出して、それに的確に応えることです。
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受講生のプロフィールには必ず目を通し、何を求めているかを想像します。セミナー中には質疑応答やワークを通してできるだけ受講生に言葉を発してもらい、要望を理解するように努めます。
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また、講師と受講生という上下関係ではなく個人同士の並列な関係を築くことができればベストです。しかし、時間が限られ、多くの受講生が参加するセミナーでは個人に注力するのは難しい点があります。
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そのようなケースでは受講生をいくつかのグループに分けて、グループから出てくる意見に耳を傾けます。講師に対しては意見を述べることを躊躇するにしても、グループ内の同国人同士ですと意見交換は活発になります。グループから出た意見や質問にしっかりと対応すれば、おのずから受講生の満足度は上がります。
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おわりに
外国人を対象にしたプレゼンテーションでは言葉の壁や環境の違いに悩まされることはあります。しかし受講生の満足度を上げるという観点では、国内と海外にプレゼンテーションに違いはありません。日本でプレゼンテーションを行う場合でも、プレゼンターとして言いたいことをできるだけ簡略にまとめ、自分がしゃべるよりも参加者の意見に耳を傾けます。そうすると自然とかれらの要望が分かってきます。
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中小企業診断士としては、受講生の要望さえ分かれば、あとはご自分の経験や知見から解答を導き出すのはそんなに難しいことではないでしょう。ちなみに、海外の経営者の悩みは、まずはヒトで、次が市場や技術です。これは日本の経営者と同じです。
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